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スピーカ FE103-Sol (Fostex + 自作エンクロージャ)


 分  類  スピーカ ユニット&自作エンクロージャ
 型  番  FE103-Sol-6.6L
 ユニット  FE103-Sol(8), Fostex, 10cm, 15W, 8ohm,
       0-40kHz, 90dB/w(1m)
 エンクロージャ W170 × H315 × D255 mm
       6.6L, MDF, t 24mm (12mm × 2



 今や自作スピーカを作ると言ったら欠かせない存在のフォステクス。長年の伝統を引き継ぐフルレンジユニットFE103の販売50年を記念して限定発売されたのがFE-103-Sol。通常品との違いを見た目にもアピールするために、フレームがカッパーオレンジに着色されています。 限定という言葉に弱いし(^_^;、日頃ツキ板仕上げのエンクロージャを作ってみたいという欲求もあったので製作着手。このユニット、限定品と言うことでどこの販売店でも定価販売。そこでポイントが付くヨドバシの通販を利用したんだけど、なぜか一人1ペアでなく1個のみの限定販売。送料無料なので届いたら再注文すれば良いと思ったら、購入履歴ではじかれてしまった(--;。仕方なく通勤途中のヨドバシの店舗で取り寄せてもらいました。


 仕様は通常品と変わらないけど、コーン紙の軽量化、高剛性化とマグネットの大型化が図られています.


 今回使ったツキ板はウォールナット。ツキ板屋GIFUさんから柾目タイプをネット購入しました。また仕上げは木の風合いを出すために蜜蝋を試してみました。これもネット購入。


 仕上げの確認のため、ツキ板片にクリアラッカー、ワトコオイル(ダークウォールナット)、蜜蝋を塗って比較しました。左からその順です。クリアラッカーのツキ板片の右半分は塗料を塗らない地のままです。ワトコオイルは暗すぎ、クリアラッカーはちょっと軽い感じに仕上がりそうなので、木肌に染みこんでシットリした発色がある蜜蝋を使うことに決めました。


 エンクロージャはメーカーの標準設計を踏襲したけど、板厚は15mmではなく12mmを2枚貼り合わせることで24mmとしました。2枚を貼り合わせるのは、見た目を良くするのにスピーカユニットとバッフル板を面一にする加工をしやすいのと、箱組の接着面を階段状にして密閉度を確保できるから。エンクロージャ作りに必須なハタガネを揃えるのに資金を投入するか決めかねていたので、接着面を圧着する自信が無かったんです(^_^;。
 2倍の枚数を切り出すので手間が掛かるけど、幸いオカモク(岡元木材)さんが直線カット無料で通販対応してくれるのを楽天で知ったのでお願いしました。近所のDIY店でもカット対応してくれるんだけど、刃厚分の誤差は許容というのがお約束。となると加工者の腕次第で誤差が決まるわけで、口コミの評判の良いこのショップに決めました。MDF代と送料を考えると近所のDIY店のほうに分があるけど、DIY店では1カット100円なのと、何と言ってもエンクロージャには誤差が大敵。
 板の注文をオンラインで済ませた後、メールで板取図を送って十分に確認のやり取りができました。ちなみに60mm以下のカットは有料、30mm以下は対応できません。このパーツはエンクロージャ内部で使う精度が要らないパーツなので自分でカットしました。


 発注して数営業日後に到着。パーツ毎に丁寧にまとめられ、全体の梱包もしっかりされていました。また自分で加工するパーツ用に端材も送ってもらったんだんけど、使いやすいようにサイズを揃えてくれていました。材木屋さんって荒っぽいという印象があったんだけど(失礼m(_ _)m)、東急ハンズのクラフト部門並みの対応です(^_^。


 仮組みして精度確認。MDFなので反りはほとんど無く精々0.5mm程度、カット誤差も全体の組立状態で一方向のみ0.5mmで他はゼロ!神業的な精度です。これなら次回もお願いしちゃいますね。 写真で右端の板の影が大きく見えているけど、しっかり押さえると段差がなくなります。


 こんな風にピタリと合って、最後の板をハメる時は桐箪笥の引き出しのような感触で収まります(^_^。


 接着は先ず外板と内板の2枚の貼り合わせから。前面バッフル以外の5面を雑誌を重石にして圧着しました。


 接着面になる部分は木工ボンドの食い付きを良くするために、粗めの紙やすりで荒らし、さらにカッターでスジ状に傷を付けています。


  スピーカユニットを取り付ける穴は円形なのでショップ依頼は不可。ホールソーは持っていたけど、精度が必要なので自在錐をネットで購入しました。


 初めての作業なので練習を含め半日程掛かって穴開け終了。満足いく仕上がりです(^_^。


 前面のバッフル板にスピーカユニットとバッフルダクトを仮置き。ダクトはフォステクスのパイプダクト(P49)を使っています。


 フォステクスからは専用の丸形プロテクション・グリル(KG810)が出ていたので、コレに合わせてバッフル板の外板をくり抜いています。


 KG810の外枠の高さは12mm。同じ厚さのMDFを使うことで面一になります。


 スピーカって部屋に置いておくと結構な存在感なので、部屋との違和感がないようにスピーカの前面を覆うグリル(以下、全前面グリル)も付けられるようにしてコーディネートを試したいと思いました。そこでコイズミ無線のグリルホルダー(HMP-GU)を確保して、取り付け具合を確認します。


 ツキ板を貼った試験片に下穴を開けて取り付けたところ。グリルを外して見えていても違和感はないので採用することに。問題はエンクロージャ側とグリル側の開口位置合わせです。これがズレると填まらないことになるけど、ハンドドリルでは精度に限界があるので難題です。妙案はないのでとにかく落ち着いて作業するしかありません(--;。


 ターミナルはコイズミ無線のART CS-023E。自在錐が使える環境になったので丸穴の方が加工が楽です。


 とりあえず吸音材を各面に入れておきます。例によって吸音材はDIY店で確保した安価な水槽用フィルターです。


 いよいよツキ板貼り。今回は前面バッフルを中心にエンクロージャの側面と裏面をくるむように切り出しました。


 このツキ板には薄い和紙が裏打ちされていて、専用の木工ボンドで板面と貼り合わせます。アイロンをあてて空気を押し出すように動かしながら熱すると密着してくれます。アイロンとの摩擦でテカりそうだったので当紙をして作業しました。


 ツキ板は少し大きめにカットして貼った後にはみ出た部分を切り落とします。


 バッフル板の内板は一段落とし込んでスピーカを取り付ける部分が見えるので、ここにもツキ板を貼っておきます。


 木口にもテープ状にカットしたツキ板を貼りました。


 ユニットを仮置きして取り付け穴の位置を現物合わせ。


 2mmのドリルで下穴を開け、付属のネジを入れてねじ切りしておきました。


 ターミナル端子も取り付け穴も同様に開けておきます。


 グリルホルダーの穴も開けて残るは蜜蝋塗り。ホルダーの穴位置がズレているのは物差しの目盛りの読み間違い(゜o゜)\バキ とハンドドリルのブレが原因(ToT)。蜜蝋を塗る前に400番の紙やすりを軽くあてて表面を平しておきました。


 蜜蝋を塗り終えたところ。しっとりとした艶が出ました(^_^。完成後、しばらく使用して埃を払おうとすると毛羽が残るので1500番の紙やすりをあて、もう一度薄く蜜蝋を塗り込んだら滑らかになりました。


 いよいよユニットの取り付け。


 ファストン端子はオーディオテクニカのTL-205Mを使用。


 端子カバーをケーブルに通そうとしたらきつくて入らないので、蜜蝋をグリス代わりに使いました(^_^;。


 スピーカユニットを取り付けたところ。すでにネジ山ができているので無理な力を入れなくても木ネジが進んでくれます。下手に力が入ってドライバーが滑るとユニットを傷つけてしまうので、下穴処理は重要ですね。


 ようやく音が出せる状態まできました。色合い的にオレンジは隠れていた方が見た目が落ち着くのでグリルは必要と判断。


 このグリルの取り付け穴はスピーカと同じ箇所にあって、スピーカと共締めする仕様。これだと気分によってグリルを外すことができません。かと言ってスピーカの留めネジを避けて回転させるとFOSTEXのロゴが曲がってしまうので格好悪い。これは思案のしどころです。


 裏面はこんな感じ。丸形グリルの取り付け方法は後で考えるとして、全前面グリルの製作に取りかかります。


 フレームは15×10mmの檜角材で組むことにしました。各辺の角は45度にカットして木口が出ないようにします。こんな時は45度に切り込みが入った治具が活躍します。


 支柱も一本入れておきました。各フレーム材は木工ボンドで固定しながら細めの釘でしっかり留めます。フレームの周囲前面はなだらかに削り、裏側も取り外しの際に指が入りやすいように丸みをつけてあります。その結果、フレーム周囲が薄くなり、くぎの頭がハミ出てしまうので隠し釘を使いました。隠し釘は樹脂が釘頭に刺さっていて、ここまで打ち込んでからペンチなどで釘頭を捻るともぎ取れ、釘の本体?だけが残るようになっています。


 今回、フレーム周囲の削りや、エンクロージャ本体の0.5mmの修正には鉋を使いました。プラだとヤスリを使うしか無いけど、木材は鉋を使えるので効率が劇的に違います。ただ鉋掛けには木材を支える台がないとブレて仕上がりが悪くなります。そこで余っていたMDFの端材で鉋台を急遽製作。



 組み上がったフレームはMDFの色がネットから透けて見えてしまうと格好悪いので黒く塗装しました。支柱の位置が左右で違うように見えるのは上下の置き方が違うから(^_^;。グリルホルダーの穴開け位置はエンクロージャーと現物合わせしたんだけど、かなり神経を使いました(--;。


 ネット用の布は厚手でベージュっぽい生成り布を使ってみました。

エンクロージャに取り付けたところ。


 う〜ん、なんか違和感あり(--;。色が白すぎるのと、フレームがちょっと大きすぎた感がある。こりゃ使えないなぁ(ToT)。


 しばらくは丸形グリルを使うことにして気を取り直し、取り付け方法を考えました。正しい位置にグリルを合わせるとスピーカユニットの取り付けネジとグリルのネジ部が干渉するので、グリルの干渉部をニッパーで切り取ってしまいます。グリルの固定は周囲に数点ほど1mm幅に切った厚さ1mm程の隙間テープを貼り付け、そのままエンクロージャの丸穴に押し込むことで取り外し自由な固定としました。そのままだとグリルの留め穴が空いているので、ダミーのビスで埋めてあります。


 ダミーのビスはM5mmのものを3mm程に切り詰め、1500番の紙やすりで表面を磨いてからメタルプライマを塗布し、黒鉄色のプラモ用のラッカー塗料で仕上げました。


 完成した丸形グリルを取り付けて記念撮影。しばらくはこの仕様で使うことにします。肝心の音はクセが無く、自然に鳴っているという表現が合っています。今までは同サイズのScanSpeakを使っていたけど、エンクロージャのグレードが高いのと、効率がScanSpeakの84dBに対して90dBと6dB高いこともあって今までより小さな音量でも音の押し出しがあります。あと音量を上げなくても高音が聞きやすい感じです。これが解像度が上がったという表現なのでしょうか。