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真空管アンプキット Professor-2 (オーディオ専科)
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いつかは300Bのアンプを作りたい!と思って始めた真空管いじり。普段のストレスが溜まってくると趣味で解消したくなるのは当然。という言い訳でお盆休みに確保し、すぐに組立開始!300Bのキットはショップの数だけあるけど、真空管アンプキットの中では最高額ばかり。同じ球のアンプは幾つも作らないだろうし、置き場所もないので、今回はリファレンス機扱いで申し分のないオーディオ専科のシングルアンプ Professor-2 に決めました。 完成重量19.2kgのほとんどを占めているのがトランス群。銅線の塊と鉄のコア、それに鉄製シャーシとステンレス製化粧パネルで95%くらい? 仕分け梱包されているパーツ。 A3用紙三枚の実体配線図は2部入っているので、配線確認用と保存用に使えて嬉しい。配線材はショップお薦めのテフロン皮膜線を使ってみました。単芯のテフロン線はかつてゲート回路を組む時にお世話になったけど、撚り線では初めて。硬い皮膜なので引き回しの際にクセがなく、ハンダの熱に強いので綺麗に仕上がります。今回の線材はシルバーメッキされた極細線の撚り線なので、単線よりもしなやかで扱いやすい。ちょっとお高いけど、値段相応のものはあります。 キットには球が付いていないので自分で好きなものを選べます。ただし300Bはヒーター電流が1.2〜1.3Aというのが条件とのこと。今回は円高と言うこともあって海外通販で確保しました。 まずはシャーシの側面を養生して背の低い部品の取り付け。上面は化粧パネルが載るので気にしなくてOK。 300Bの直流点火用のレギュレータにシリコングリスを塗っているところ。レギュレータのコモン面とマイカシートにごく薄く塗るのが鉄則。キットには少量だけど十分な量のシリコングリスが入っています。チューブで買ったら一生もので、確か工具箱に中学時代に買ったのが入っているはず(^_^;。 レギュレータをヒートシンクに取り付けたところ。ヒートシンクのエッジにはバリがあって、これを取り除かないとシャーシに密着せず放熱効果が出ません。写真のように地が見えるまでヤスリで削り取ります。プラモのパーツの摺り合わせと同じ要領ね(^_^。これは組み説に書かれていない定番Tips。 シリコングリスを塗ってシャーシに取り付け。ブリッジダイオードも同様です。 ボリューム本体の金属部分はアース電位になるようにシャーシ側の接触部分の塗膜を剥がしておきます。さらに接触を確保するため菊座金を挟みました。これも定番Tipsね。 シャーシ右上のケミコンはブラケットを先に取り付けると、ドライバをいれる隙間が無くてケミコンを固定するネジを締めることができない(--;。なので端子の方向を確認しながら先にケミコンをブラケットに取り付けておきます。シャーシを水平に保つため、空き箱で調整。 トランス類の取り付けは背の低い電源チョークから。 トランス類を全て取り付けたところ。一番背の高い左端の電源トランスに合わせてバランスをとるため、右端の出力トランスに段ボールを挟んであります。 ホーロー抵抗を出力トランスのビスで共止めします。先に片側のブラケットを取り付けないと、ホーロー抵抗を止めるビスの先が邪魔でドライバーが入りません。 ビス留め部品をすべて取り付けたところ。梱包を解いてゴミを処分し、パーツの確認から組み説の熟読、組み方のシミュレーションを行い、ここまででほぼ一日作業。翌日から、いよいよ半田付け!だけど午前中は墓参りや親戚回りで日中の作業はお預け(--;。 まずは抵抗類を取り付ける前に引き回しの配線をします。さもないとハンダ箇所がパーツの影になったり、パーツに追加の熱がかかるので良いことなし。真空管のソケットやラグ板の端子は取り付け穴が2個あるので、配線用とパーツ用に分けて使うようになっています。半導体やコンデンサ類は熱に弱いのでクリップを挟んでヒートシンク替わりにします。 引き回しの配線がすべて終わったところ。取り付け穴が1個しかなかったり、線材と共にパーツの足を絡げるような仕様の端子にはパーツも一緒に半田付けしました。 引き回しのアップ。この時点で半田付けを確認しておきます。配線の先から半田付けした端子のハンダがのっていない部分との間の抵抗値をすべて読みます。私のテスターでは0.2Ω以下ならOKとし、これが数Ωあるとハンダ不良です。結果は天ぷらとイモハンダが各一カ所。灯を入れる前の確認作業で見つかったので汚点とはしないことにします(^_^;。ここまでの作業で一晩。 さらにもう一晩で全ての部品を取り付け。 ハンマートーン塗装された円筒形のパーツはオーディオ専科製のグリッドーチョーク。専用のラベルが付属していたので裏板を被せる前に貼っておきます。 電源トランス上の4個のケミコン(水色のヤツ)のうち、上から2番目はトランスの端子に干渉しないよう他のケミコンより浮かせて取り付けるのが組み説の指示。でも全ての高さを揃えた方が見た目が良いし、強度的にも問題なさそうだったので自己流で高さを統一。このあと部品の取り付け確認。よくある間違えがコンデンサの極性違いだとショップのご主人が言っていた。案の定、自分で十分に注意していたのに写真手前中央の黒いケミコンが見事に逆だった(゜o゜)\バキ。昔からくびれている方がマイナスだと勘違いしていたのが直っていないらしい(--;。それでも灯を入れる前に気がついたのでこれも汚点とはしないことに(゜o゜)\バキ。 さあ、いよいよ灯を入れます!まずは球を挿さずにヒーター電圧を確認します。6SL7GT用の交流6.3Vと300B用の直流5Vは正確にでています(^_^。安心して6SL7GTのみ挿してヒーター点灯を確認。OKなので300Bを挿して同様にヒータの点灯を確認。これもOK!最後に整流管を挿して各所の電圧を確認します。 今回用意した整流管は5U4GでGZ37よりも若干低いとのこと。計測してみると5%ほど低いが全ての箇所は問題無さそう。 そこでスピーカを接続して音だし!うぉ〜、聴こえるぞ〜!\(^_^/ 灯入れ一発で鳴らすことができたなんて私も成長したもんだ(゜o゜)\バキ。あとは養生を外して仕上げです。 なんてこった!養生のビニール袋が噛んでいる(--;。取り付けビスを緩めて取り除くこと3カ所(゜o゜)\バキ。 いかにも高級そうなトランスのエンブレムはシール付きの金属製。自分で取り付けられるので、トランスの向きがどちらを向いても仕上がりが統一できる親切仕様(^_^。 キット付属の銘板。キット名が入っていなくて寂しいので貼付はペンディング。 ボリュームツマミはトルクスレンチを使うんだけど、手持ちのものは大きいセットしかなかった(--;。こんな時に頼りになるのが近所の100円ショップ。インチ仕様かミリ仕様か分からなかったけど、今後のためもあるので両方確保。ちなみにキット付属のツマミはインチ仕様でした。 とりあえず無事に完成!後々に銘板を作ったり、ツマミを高級感のあるメタル製に換えてみたい。 球はコスパの良いものを選んだけど、しばらくしたら換えてみるのも楽しみ(^_^。 真空度が高い球は青い蛍光が出ると聞いていたので明かりを落としてみると...光っている!(^_^。古いデジカメの性能では画像処理してもこれが限界だけど、実際はもっと全体的に薄膜ベールのような感じで光っています。 アンプの特性を見よう見まねで測ってみました。設定条件がよく分からなかったので、1kHzのサイン波入出力が1Vrmsになるようにボリュームを調整し、入力周波数を変化させた時の入出力比をプロットしたのが上のグラフです。7Hz〜21kHzで-1dB以上の利得があります。下の写真は抵抗のみの負荷で矩形波入力時の出力波形ですが、高周波になると何やら微分成分のような波形が目立ってきます。そこで100kHz以上の特性を調べてみると1MHzに-10dBのピークが出てきました。何が原因で音色にどんな影響があるのか分からないので、今度ショップの店主さんに聞いてみることにします。 20Hz 100Hz 1kHz 10kHz 20kHz 100kHz ちなみに残留ノイズは左右共に0.3mV以下で、たまに0.7mV程に増加することがあったけど、概ね好調です。と思っていたら、交流点火の6SL7のヒータ配線を捩っていなかったことに気付いた(>_<)。 ボリュームツマミをアルミの削りだしに換えてみました。ボリュームの軸径が1/4インチなのに穴径が6.1mmだったので、6.5mmのドリルで拡張しています。青色LEDは輝度控えめでクールな印象なんだけど、暖色系のほうが球アンプには合いそうなのでネオン管に換装しようと思っています。ついでにヒータ線を捩り線に換装してノイズの違いを見てみるつもり。 周波数特性は1Wの出力時に計測するのが一般的らしいので取り直してみました。結果は前回とほとんど変わらず。前回は0.125W時だったので、ニアフィールドのBGMという実用的な条件だったわけね。1Wだとボリュームは二時の位置でかなりの音量。ちなみに整流管に5U4Gを使っているのでドライブ電圧がカタログ値より5%低いためか、最大出力電圧は1割ほど低くかった。電力は電圧の二乗に比例するので最大出力電力はカタログ値8Wの約8割の6.6Wでした。ダンピングファクタはカタログ値どおり約2.5です。 これは出力のダミー抵抗を外し、1μFの純容量性負荷時の波形(1kHz)。破綻することなく応答しています(^_^。 6SL7のヒーターは交流点火だったので捩り配線にしてみました...が残留ノイズは変わらず(--;。本当はAC100Vの配線を捩りたかったけど、太い配線材の手持ちがないので次回に持ち越しです。 中を開けたついでに電源インジケータをネオン管に交換。色が違うのはもちろんだけど、灯り方がLEDと比べて暖かみがあって真空管アンプにはこちらがマッチすると思う(^_^。 整流管をフリマで確保したValve Artの274Bに交換してみました。電源を入れた瞬間、電極がバチバチッと青白く放電(@o@)。直ぐにスイッチを切って匂いを確認。他の球や抵抗などには影響無さそう。球を挿す方向を確認したけど、ノッチがあるので間違えるハズはない。ダメ元で再度電源ON。274Bのヒーターがオレンジ色に輝き、他の球のヒーターも無事に輝き始めたところで入力を入れ、無事音だし確認(-o-);。音の変化は...部屋で聞ける音量の範囲(小さめ)ではよく分からん(^_^;。袴の色は黒のほうが好みだけど、この球のほうがグラマラスなので大きめのこのシャーシには合っていると思う。 こちらは取り替える前に挿していたSovtekの5U4G。Valve Artの274Bより一回り小さい。 Professor-2 のキットを発注した時に一緒に頼んでいたボンネットが届きました。本来このキットにはボンネットは用意されていないんだけど、真空管にモノが降ってきたり万が一の時に真空管保護と火災防止、火傷防止のために特注しました。(2012年10月) 折り曲げて接する部分は溶接仕上げで隙間なし。アンプボディと同じ焼き付け塗装で一体感があります(^_^。 ボンネットにはねじ穴を開けて貰っているけど、アンプ本体は未加工なので被せているだけ。余程のことがなければズレることはないし、気分によってすぐに外せるので良しとします。 キットの完成から半年ちょっと経過。当初から気になっていた300Bと整流管の放熱性能アップに取り組みました。キットには落とし込み式の真空管ベース受けが付いているんだけど、これには通常の落とし込み用プレートに開けられている穴が無い。そこで開口することでシャーシー内部からの気流を作り、チムニー効果の気流増加とシャーシー内部にこもりがちな300Bの自己バイアス用抵抗の熱の排出を期待してみました。(2013年3月) 通常は底面に穴を開けるけど、スペースが無いので側面を開口することに。8mm径の穴を8個開けています。とは言ってもこんな曲面にドリルを正確にあてる腕なんか持っていないので、知り合いの加工のプロにお願いしました(^_^;。ドリルのセンターが少しでも下にずれると黒色アルマイト処理した面を傷つけてしまうけど、全て上手く開けてもらえました(^_^。 球を取り付けるとほとんど見えなくなってしまうけど、効果はてきめん(のハズ(^_^;)。 作業のついでに並行に這わせていたACコードを撚ってみました。これで多少はノイズの低減に効果がある(ハズ(^_^;)。オーディオ誌の記事ではこのような手を掛けると決まって「放熱効果で鳴り方に余裕が出てきた」とか「音の透明感がアップした」とか言うんだけど、私の場合は「自己満足度がアップした」です(゜o゜)\バキ。 Proffesor-2に使ってる整流管は直熱管の5U4G (Sovtec)。キットの組み説では傍熱管のGZ37を使った時のスペックがでていて、出力電圧が若干高いので電力も大きくなるとある。試しに換えてみようかなと思ってオーディ専科の店内を物色していたら、傍熱管のMullard製GZ37の横に直熱管のMarconi製の5X4Gを発見。 この球はカナダのマルコーニ社へのOEMらしい。供給元はかの有名なRCA。赤いプリントが渋い(^_^。 竿吊り式のフィラメントは手持ちの球では初めて。スプリング式に比べて工芸品的ですね(^_^。手持ち球と同じ直熱管なのに何故確保したかというと、このフィラメントに惚れたから(^_^;。 遠目にはSovtecの5U4Gと変わらないです(^_^;。挿したばかりの時は音が細かったけど、数時間のエージングで普通になりました。Sovtecとの違いは、今はBGM的にしか曲を聴いていないので、ささやかな違いがあったとしても分かりません(^_^;。あくまでRCA製Marconi販売の吊りフィラメント球の所有欲です(゜o゜)\バキ。 実は整流管と共に電圧管の6SL7もRCA製を確保しました(^_^;。 注文時のHPではカーボンスートされているのが分からなかったので、届いてみてちょっとガッカリ(;_;)。これだと真空管の楽しみの一つである電極を見ることができないんです(ToT)。この球のカーボンスートは煤のように薄めだったので、辛うじて透けて見えるのが幸いか。 今まで挿していたSYLVANIA製。音的には決して不満は無いけど、黒いベースが好きなんです(^_^;。 念願かなってWE300Bを確保できたので聴き比べ。まだ数十時間のエージングだけどエレハモよりも中低音がしっかりした鳴り方。音に対して真剣に聴くようになったからなのか、アッテネータが原因で気に障る高音の鳴り方(ノイズ?)がある条件で発生することが分かり、アッテネータは外してしまいました。このアッテネータは電子制御だったので、音に色がついてしまったのかも。(2022年4月) 実はWE300BをProfessor-2に挿して数時間聴いてから以前挿していたエレハモ300Bを戻して違いを確かめようとしたら、まさかの逆挿し(@o@)(゜o゜)\バキ(>o<)(ToT)。ヒューズが飛んでしまい、普段嗅いだことのない樹脂系の臭いが微かに漂っています(*_*) 。 Professor-2の回路は300Bは前段からグリッドチョーク(APM-131)で結合する構成。逆挿しだとヒーターを介してB電源の電流がチョークコイルに流れてしまいます。ショップに電話で尋ねたら「やはりチョークですね」との回答。LCRメーターで確認したら、本来は420HのインダクタンスがμHオーダーしかない(--;。意を決して開腹したら絶縁体らしいウレタン系?の樹脂が溶けて泡立ち、さらには焦げていました。あの時に嗅いだ臭いも強く漂ってきたので間違いなく逆挿しの影響と断定。 ところがこのチョークコイルはショップオリジナル品で問い合わせたら既に完売。たまにオークションで出品されているけど、当てのない待ちは辛い。そこで代替品(APM-113C)をショップから取り寄せました。インダクタンスがオリジナルより低いようなので鳴り方の変化が心配だけど、他に手がないので仕方ありません(;_;)。 APM-131は専用ホルダーでシャーシにビス1個で固定する仕様。一方でAPM-113Cはビス2個。天板にビス穴を追加加工するにはかなりのパーツを外す必要があるので現実的ではない。そこでアダプタを介して取り付けることにしました。アダプタは2mm厚のアルミ板で、APM-113Cの取り付け用の皿ビスの頭が埋まるようにサラってあります。 なんとか収めることができました(^_^;。 廉価版なので防磁ケースもなく、定数も違うのでどうかな?と思ったけど、聴く限りでは全く違和感はありませんでした(^_^。そもそもプラモ弄りのBGM程度でしか聴いてこなかったので多少の違いは分かるはずがないか(^_^;。でも他の回路や真空管には影響がなかったのは幸い。これから鳴り方の違いを楽しんでいこうと思います。(2022年4月) プレ管の6SL7は結構いろいろなメーカーから出ています。普段使っているSILVANIA製は茶色のベースがあまり好きじゃなかったので、黒色ベースを幾つか試してみました。写真はオーディオ専科で確保したNational Electornics製。このメーカーのは色々なメーカーのを集めてきて自社製品として出しているらしい。まあまあの鳴り方だけど、小さめの高音がちょっとシャリシャリ感がある。 何回か使ったことのあるTube DepotでRaytheonの高信頼管VT-229を調達。。。したんだけど、片方の球は温まってくるとチリチリ音が(- -;。10時間以上しても治らず、指で弾くと一時的に治るけどすぐに再発。足を再ハンダしても改善せず(ToT)。他にカーボンスートされたRCA製を持っているけど、300Bを逆挿しした時にヤられたみたいで片方だけ盛大なチリチリ音がするようになってしまいました(- -;。 結局手持ちではSilvania製が一番ノイズが少なく、気持ちよく聴ける球でした。しばらくはこの組み合わせで楽しむことにします(^_^。(2022年5月) |