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真空管アンプ PSS-VT33(MJ無線と実験 2013年7月号
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真空管のなかでST管は大きさや形が琴線をくすぐります。代表的な300B、2A3を使ったキットを作ってしまったので、そろそろ自作をしようと思案。聴くのは狭い部屋でしかないので大きな出力管は不要。小出力なら部品代も(相対的に)安いし、アンプ自体も小さくて済むので場所を取らない。と言うわけでMJ誌の中から2013年7月号に掲載された征矢氏の作品を参考にさせてもらいました。 回路と定数はそのまま使わせてもらい、配置とトランス類は好み(予算の都合(^_^;)で変更。電源ランプはいつものように真空管のヒーター色に合わせて電球色のネオン管を使いました。 製作に当たってまずは真空管の調達。これが手に入らないと話にならない。幸いキョードーでNATIONAL UNION製をペアで揃えられました。当初1個しか見当たらなかったので、取り敢えず確保し、他の店を探しても見つからなかったので一週間後にPhilips製と書かれた箱の33を確保したら中身はNATIONAL UNION製だったという次第(^_^;。 電圧管の6EJ7は新品のToshiba製をオーディオ専科で、整流管の6203はGE製をクラシックコンポーネンツで調達。 重いトランス類と嵩張るボンネット付きシャーシは通販を利用。作例では高級なファインメットコアのトランスを使っているけど、これだと出力トランスだけでも1個17,800円。電源トランス、チョークコイルと合わせると6万円超え(@_@)。今回は音質を追求するという趣旨のアンプ作りでは無いので廉価なものを使いました。 電源トランス :PMC-100M(ノグチトランス) チョークコイル:PMC-1010H(ノグチトランス) 出力トランス :KA-5730(春日無線変圧器) シャーシはボンネット付きのリード製MK-300です。パーツ代は抑えても見た目は重視して、ビス頭をできるだけ減らすために落とし込みにしました。1W級だと駆動回路からの発熱はあまり気にならないけど、5Vの電源タップから33のヒーター電圧の2Vに降下させる抵抗の発熱があるので、その放熱効果も期待。正面右端の電源スイッチ用の穴はリーマーの加工開始時の押し込み力が弱ったのでデコボコになってしまいました(ToT)。しかも端に寄せすぎたのでサイド側の折り込みが直ぐ横にあって、スイッチ表面に当たる部分が面一にならず、スペーサーで調整を余儀なくされています(--;。 ボンネット付きのシャーシは値段の割にはそこそこの見栄えだけど、さらに見栄えを良くするためにハンマー調にしてみました。 近所のホームセンターには見当たらなかったので通販で調達したスプレー缶。今回はシルバーを使いました。 この塗料は普段のプラモ塗装と違って一回で厚塗りするのが基本。厚塗りなので、手にべと付かない程度に乾くのに数時間、多少の作業には1日、強度が出てくるのは3日以上の時間が必要です。これを待たずに1日で養生用のテープを貼ったら、完成後にテープを剥がす時に塗膜が剥がれてしまいました(ToT)。これは元々塗装してあった下地への食い付きの甘さも原因だったかも知れません。再塗装するのに部品を全て外すのは至難なので、部品の取り付けてある面をマスクし、タッチアップ的に再塗装してごまかしました(^_^;。この時は食い付きをよくするために軽く紙やすりを掛けています。 見た目重視とした上で部品の大きさと配線の短さと信号線の種類のまとめ方でレイアウトを決め、配線図を引きました。この時は33の向きが反対で、他にいくつか配線間違いあります(^_^;。実際の半田付け時は回路図とも照合しながら作業を進めます。 今回使用したシャーシは厚さ1mm。スピーカ用端子の絶縁部はもっと厚いシャーシにも対応できるように長くなっているので、このまままだとナット締めした時に浮いてしまう。そこでシャーシーの厚みに合わせてニッパーでカット。その際はワッシャーをあててガイドにしました。ここでやらかしたのは絶縁パーツの取り付けを写真のように反対にしてしまったこと。本来は凸パーツを一番最後に取り付けます。そうしないと締結時にワッシャーが食い込んでシャーシーとショートしてしまいます。その結果、多少の割れた音は出るんだけど、音量が上がりません。まさかここがショートしているとは夢にも思わず、まずは半田付けを疑い、次に部品を疑い、2週間近くの時間と予備部品をムダにしました(--;。 落とし込み用のサブパネル上面。丸穴は放熱用です。シャーシーパンチを初めて使ったけど、初めに刃が当たる面は形状が歪みやすいのね(--;。次回は反対側から開けることにします。 裏面です。部品取り付け用のラグ板を多用しています。実はこのままだと音量ボリュームと干渉するので、この後に切り欠いています(^_^;。 シャーシに取り付ける部品を全て付けたところ。トランス類の固定ビスを流用してラグ板やラグ端子を固定しました。 全ての配線を済ませたところ。狭いシャーシに無理矢理に組み込んだこともあって美しくない(--;。しかもこの後にスピーカ用端子のショートを発見するまでの試行錯誤でハンダのつけ直しの連続で更に汚く... 実は音量用ボリューム(100KΩ A型)とハム除去用ボリューム(100Ω B型)を取り違えていて、交換のためにサブパネルや出力トランスを外さなければならず、さらに酷いことに(--;。 サブパネルに取り付けたホーロー抵抗は端子が裏板と接触しそうなので斜めにして逃がしています。。 密集しすぎてグチャグチャです(--;。これもでちゃんと音が出るんだからすごい? 灯を入れて各部の電圧を確認。B電源は作例より5%ほど高いけど誤差範囲ですね。ところが左右差が10%程ある。片側のスピーカ用端子がショートしていたのが原因だったかも(解決後は調べていないので(^_^;)。この写真はまだ調整時のもので出力管33の向きが反対で「33」の型番表記が見えません(--;。ボリュームツマミも小さい物だったのでワッシャーが見えてしまい、格好悪いので交換します。 シャーシのリア面。4Ωと8Ωを出しました。入力端子は横に並べるとスピーカ用端子の間が詰まりすぎ、ケーブル固定時に指が入りにくいので縦に並べました。 33のヒーター。右奥の整流管に比べて控えめに灯っています。 遠目で見ると分かりにくいけど、アップで写真に撮ると灯りが分かり易いですね。 やはり真空管アンプにはLEDよりも電球色ネオン管の灯火のほうが私の好み。 養生テープを剥がす時に塗膜が剥げたのは右ボリュームとネオン管の中間の数cmほど。部分的にスプレーし、さらに全体的にスプレーした結果、うまくリカバリできました。分かりにくいけど、もともと黒塗装だったボンネットはクレオスの黒鉄色をスプレーしています。すこしメタリックが入ることで、シャーシーとの統一感が得られました。 初めに選んだボリュームのツマミは小さくて正面以外から見るとワッシャーが見えてしまうし、ズレ防止用のピン穴も正面から丸見え。 もう少し小さめのツマミにしたかったんだけど、見当たらなかったのでこれに決めました。特性はまだ調べていないけど、感度が高くて小さめのボリューム位置でも元気よく音が出ています。それも嫌みの無い音です。 今回はキット以外の真空管アンプを初めて組み上げたけど、自作部分が多い程に愛着が湧くのは模型と同じですね。願わくばもっと配線を綺麗に仕上げたかったし、やり直しも可能なんだけど、そろそろプラモ弄りも再開したいので、これで完成とします。 |