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真空管ラジオ レストア(5球スーパーヘテロダイン)



 分類  真空管ラジオ(キット?)
 型番  Opal
 開発社 不明
 出力  不明
 構成  5球スーパーヘテロダイン
 真空管 6WC5, UZ-6D6, 6Z-DH3A, 42, 80



 真空管アンプをいじっている時に父親が真空管ラジオを持っていたのを思い出した。父親が所帯を持った時に貰ってきたものらしい。ということは50年以上前のものだぞ(@_@)。話を聞くと電気屋に修理に出したものの、1年経っても返ってこないので取り戻したという。一体どんな腕の電気屋だったのか(--;。埃だらけで裏蓋や幾つかネジがなくなっているけど形状は維持できている。これがレストアできたら我が家の歴史的なものが蘇るわけで、なんだか楽しそう。と言うわけで中を覗いてみた。


 中は埃と煙草のヤニらしきもので黄ばんでいる。ケーブルは絶縁皮膜が硬化してガチガチボロボロ。回路部品は揃っている感じ。


 真空管を磨いてみると流石にガラス部分は輝きを取り戻す。型番を確認すると左から6WC5, UZ-6D6, 6Z-DH3A, 42, 80という真空管が入っていた。順に周波数変換、中間周波数増幅、検波&低周波増幅、電力増幅、両波整流(電源用)を担っているらしい。5個の真空管を使い、音声帯域と搬送波の中間の周波数に変換して増幅をすることをスーパーへテロダインと言うので、タイトルの名前のラジオと呼ぶとのこと。入っていた整流管80の中を見ると細かい灰色の箔が沢山落ちている。これはヒーターやカソードの表面が熱ストレスで剥離したもので、かなり劣化している証拠らしい(--;。


 このラジオには6E5(Mitsui)という型番の真空管も使われていた。これはチューニング時に使うもので、共振電流が流れると頭の部分の蛍光体が発光して同調が分かるインジケータとのこと。同調度合いがアナログ的に確認できるもので、1個のLED表示が多い最近のインジケータより優れていると思う。ただ蛍光体が劣化していることが多いらしい。


 シャーシー内部の配線を見てふと疑問が。何となく配線が雑なのである。取り回しが美しくない。さらに良く見ると半田付けが下手クソなのである。そこでネットの情報や文献を読みあさってみた結果、当時流行っていたキットだったと断定。と言うことは素人が作って動かない(少しは動いた?)ものを電気屋が診て手に負えなかった代物なのか?(>_<);。となると代表的な回路図を参考にして一から作り上げた方が早いかも知れない。どちらにしてもコンデンサは総取り換えしないと使い物になりそうもない。時間が掛かりそうだけど、断念しなければかなり楽しめそうだな(^_^;。


 まずは実物の配線を追い、実体配線図を描いてみた。これから回路図を起こして間違いがないか確認する。入り組んでいるところは配線がコンデンサなどの大きな部品に隠れて見えにくく、所々修正。


 一から回路図を起こす技量はないのでネットで検索してみると、5球スーパーの回路はどの製品もほぼ同じらしい。回路の定数やコンデンサの追加などで設計者の経験が活きてくるんだろうな。そんな事を考えながら回路図を検索し続けていたら、キットとして販売されていたラジオの回路図に巡り逢えた。マジックアイは無いけど、回路定数はほとんど同じ! こんな貴重な資料を載せている管理者に感謝!m(_ _)m。


 今のスピーカーは励磁に永久磁石を使うものがほとんどだけど、こいつは電磁石方式。話には聞いていたけど、実物を見ても気がつかず、回路図にFC(Field Coil)と書いてあって初めて気がついた(゜o゜)\バキ。当初、他の回路図を見ながら配線を追い、このラジオには電源の平滑コンデンサのところに電圧降下用の抵抗がないぞ?おまけに電源からすぐスピーカーに配線が伸びている!?これが配線間違いならスピーカーは完全に逝っているな(--;と憂鬱になっていた(^_^;。実際は励磁コイルを電源の平滑に使い、コンデンサと合わせてπ型回路にするという技だったのね。 テスターで調べたらコイルは断線していないのでこのまま使えそう。これでフィールドマグネティックスピーカーの音を初めて聞くことができるかも(^_^。と喜んでいたら写真の手前に写っている出力トランスの二次側の断線を発見(ToT)。当時のラジオの半数はこのような症状らしい(--;。


 このラジオには幸いツマミが全て残っていました。紛失している場合が結構あるみたいで、その場合は複製したり、代替品に要交換。その点、外観が当時のままというのは嬉しいことです。ただ留めネジが残っていたのが一個のみ。ネジがない状態で全てのツマミが残っていたのは奇跡かも。この留めネジは旧JISの4mm径のイモネジ。ホームセンターで容易に手に入るのは頭がナベ型のネジだけなので、これの頭を切って加工しました。


 ビスカッターのピッチは当然ながら新規格なので4mm穴には入らない。5mm径用の穴に突っ込み、強引にカットします。断面をヤスリで整形し、ナットにねじ込んでナットごと固定しながら、マイナスの溝を目立てヤスリで彫り込みました。


 全ての抵抗やコンデンサを取り付け終わったところ。そして点火!無音(--;。その後、配線の確認をしてまともに鳴るようになるまで1週間、トラッキング調整に1週間と苦労しました(--;。配線はハンダ不良が2カ所、確認して修正したら当初のものが正しかったこと2回(゜o゜)\バキ。


 ブロックコンデンサは残念ながら同等品は見つからず飾用。


 ブロックコンデンサの代わりにチューブ型をシャーシ内に収めています。


 立体配線というか積層配線(--;。


 トラッキングで苦労したのは、なぜか調整用のパディングコンデンサとバリコン付加のトリマが規定の容量では同調できなかったから。うまく調整できるとNHKからニッポン放送の間で+2〜-3.5kHzの誤差で同調できるはず。それなのに低い方でNHK第2、高い方は900kHzで日本放送を受信してしまう(--;。


 試行錯誤した結果、750pFのパディングコンデンサに0.001µFのコンデンサを並列して、本来の周波数の位置でNHKが受信できるようになった(^_^。


 高い周波数はトリマに並列して15pFのコンデンサを追加して受信可能になった。それでも文化放送が1000kHzの位置になってしまう(--;。確保してあった温度補償型コンデンサはこれが最大の容量だったけど、もう少し大きめだったら正しい位置で同調できるかも。
 その後にアンテナコイルの巻き線形状が変形しているのを発見。半田ごてが当たった跡があった(--;。これが原因でインダクタンスが低下し、それを補うためにコンデンサの容量の増加が必要だったと思う。修正の際に巻き線を切ってしまったら一大事なのでこのまま使うことにします。


 サージプロテクタが50円と安かったので電源SWに追加してみました。


 鳴るようになったところで記念撮影(^_^。


 裏側も一枚。


 糸かけはプーリーに3巻きが基本らしい。2巻きだと滑っていまい。4巻き以上は巻く隙間が無い。あと、ばらす前に糸かけの様子をスケッチしておかないと後で苦労します。


 いまだに豆球のソケットも新品で手に入ります。絶縁ブッシュ付きも自作とあまり値段が変わらないようです。


 箱に収めたところ。右横にある100Vサービスコンセントは今どき要らないだろうし、引き回すとノイズ源になるので割愛。


 正面から見た構図。左側のイルミネーションランプが直に見えて眩しい(^_^;。これでもマジックアイは全て閉じているんだけど完全に劣化して輝度不足(--;。


 これでは魅力半減なので秋葉で調達。アポロ電子で¥4,500也。劣化した6E5と共に他の真空管を持っていって、調子を診てもらった。6WC5と6Z-DH3Aは定格の半分程度しかプレート電流が流れず劣化しているらしい。一応鳴っているので、とりあえず様子見。


 左がオリジナルのMITSUI製で右は新品のRCA製。オリジナルは蛍光体部分が灰色になって退色している感じ。


 新品のマジックアイが同調している様子(右)。自宅では2mほどのアンテナ線をつけるとTBSだけがここまで閉じてくれます。


 緑の蛍光がレトロな匡体にちょっと異様な感じ(^_^;。


 これで完成と思ったら、このラジオには裏蓋が無かったことを忘れていた。MDFで作りたかったけど、匡体の差し込み溝に合う厚さ4mmのものが無かったのでベニヤ板を使いました。曲線部分はホールソーで開け、大きいカッターで直線部分をつなげました。表に見える面は表面が綺麗なほうを使ったんだけど、これが塗装時に失敗と分かる(--;。


 地の色だと色白で匡体に合わないので、P800の塗装に使ったオーク調塗料を塗り込みました。ところが板目の部分で塗料を弾かれ、見た目がうるさい感じになってしまった(ToT)。


 裏側です。明らかにこっちのほうが落ち着いていて、裏蓋って感じ。


 穴が大きいので虫や埃が入りにくいように黒いネットを貼りました。


 AM受信の場合は電灯線アンテナが使えることを思い出し、どの程度か試してみました。結果は2mのアンテナよりも感度が良くない(--;。コンデンサが劣化すると感電の危険もあるのであえなく却下。


 オリジナルのパディングコンデンサ。押さえ板が割れていて調整不可 (--;。このトリマコンデンサは金属薄膜をマイカ薄膜を挟んで積層したもので、全ての金属薄膜を半田付けして使うのが前提らしい。ところがこのハンダが端子から先の本体まで回り込んでいる模様。結局、多少容量の異なるものを調達しました。


 スイッチ付きの長軸ボリュームは貴重なのに、壊してしまいました(ToT)。軸にはナットが2個付いていたけど、下側のナットは軸を本体に固定する役目があるらしく、緩めたら内部のバネが弾けて戻らなくなってしまった(゜o゜)\バキ。カバーは本体にピンで圧着されていて、バラすと元に戻らなくなりそうなので軸の短いスイッチ付きを確保し、延長軸を取り付けて使っています。


 先述の抵抗。熱?で塗膜が剥がれて抵抗値が半減していました。同程度の容量の抵抗を確保したら、かなり小さくて驚き。


 取り回していたら足がもげた(ToT)。これは酸化金属抵抗で代用し、やはりかなり小さくなった。


 他に取り替えたコンデンサ達。


 10µFのコンデンサは膨張していて破裂寸前(*_*)。


 昔のフィルムコンデンサは鑞で絶縁していたとのこと。熱で溶けています。


 破裂しているのか変色しています(@_@)。